私、やっぱり女性ホルモンに支配されてた(2)

冬の日のキッザニアで更年期症状に襲われる。
有馬ゆえ 2025.11.28
誰でも
キッザニアにて、CAに扮した子どもに配膳してもらった機内食。かわいい。photo:yue arima

キッザニアにて、CAに扮した子どもに配膳してもらった機内食。かわいい。photo:yue arima

 こんにちは。ライターの有馬ゆえです。

 皆様いかがお過ごしですか。私はまさに今日、人生二度目の大腸内視鏡検査を予約していたので、ドキドキの一週間でした。一度目については「初めての大腸内視鏡検査」という記事で書きました。この記事では「今後はもっと気軽に検査を受けていこう」とか書いていたくせに、受けないまま6年が経ち、いざ受けるとなるとめちゃくちゃナーバスになってしまった……。

 ではでは、「私、やっぱり女性ホルモンに支配されてた(2)」をお届けします。未読の方は(1)からお読みください。

***

 「更年期」とは閉経の前後5年を指す。最後の月経から一年間が経ったら閉経したことになるそうなので、私たちは閉経の予兆を知ることはできない。つまり、更年期にさしかかったことを自覚することはできないのだ。

 というわけで、私には「思えばあの体調不良は更年期障害が原因だったのだな」という出来事がいくつかある。その一つが、2年前に保育園時代の友達親子と豊洲にあるキッザニア東京に行ったときのことだ。

 キッザニアとはご存じ、子どもが職業体験をできる屋内施設である。室内に現実の2/3の縮尺の街があり、その中に立ち並ぶ店舗や会社の中で、子どもたちは社会に存在するさまざまな仕事を疑似体験できる。では子どもたちがプログラムを楽しんでいる30分間ほど、大人が何をしているかというと、ただひたすら待っているだけなのだ。それゆえ、実際小さな街の中は、待ち時間をつぶす大人たちでひしめき合っており、私もまたママ友と荷物を抱えて細切れのおしゃべりをしていた。

 寒い日だった。私はカーディガンとセーターの下に半袖のヒートテックを着込み、タイツにニットのスカートを履いていた。天井に描かれた薄暗い青空の天井の下、ママ友と壁に寄りかかってだらだらと話をしていると、突然、ふぁーっと体が熱を帯びるのを感じた。

 厚着をしすぎたかな、とカーディガンを一枚脱ぎ、水筒のお茶を飲む。マスクをしていたし、室内の暖房もよく効いていた。しかし、狭い街角に立つ私の体はますます暑くなっていく。汗がじわりと滲む。動機がしてくる。かと思えば、すーっと血の気が引いていったりもする。

 何食わぬ顔をしておしゃべりを続けながらも、「もしや風邪か? インフルエンザか? コロナか?」と焦った私はポーチから解熱鎮痛剤を出して密かに飲み、それから今度は「これは、ヒートテックのせいかもしれない!」とひらめいた。以前から、ヒートテックを着て体調が悪くなることがあったからだ。

 話の合間で「ちょっとトイレに……」と断りを入れ、ヒートテックを脱ぐ。セーター1枚になれば涼しくなるだろうと期待する。が、ママ友の元に戻った頃、頭痛と気持ち悪さに襲われ、私は立っていられなくなってしまった。

 キッザニアから退場し、晴れた豊洲の街に出た頃には、平生を装うこともできなくなっていた。私は入ったファミレスで子どもをママ友に預け、ふらふらと近くの薬局に駆け込んだ。

 見知らぬ街の薬局にある待合いに座り込み、先ほど買ったOS1を一気に飲み干す。頼む。体調よ、よくなってくれ。祈りとは裏腹に、体調は一向に戻らない。結局、体調が回復したのは、電車を乗り継ぎ、最寄りの駅に到着した頃だった。

 私はずっと、この日の出来事をヒートテックと風邪症状による体調不良だと信じていた。今思えば、あれは更年期障害の影響だったのだろう。

 暖房ガンガンの室内でホットフラッシュを起こし、その汗をヒートテックが閉じ込めることでさらに暑くなって、私は脱水症状を起こしていたのではないか――。そう想像しながら、あの日の「感染症ではありませんように」という祈るような気持ちと、外出先でテンションが上がった子どもたちを任せてしまったママ友への申し訳なさを思い出すのだった。

***

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