東村アキコファン親子の宮崎旅行(3)――フルーツ大野とねったくり、そして悲しき重乃井編

重乃井でうどんと魚寿司を食べるつもりだった。
有馬ゆえ 2026.07.10
誰でも

宮崎県立美術館のカフェで注文した石村義成展のコラボメニュー。旗が立ってます。photo:yue arima

宮崎県立美術館のカフェで注文した石村義成展のコラボメニュー。旗が立ってます。photo:yue arima

 こんにちは。ライターの有馬ゆえです。夏だね! いや~今年の梅雨は堪えました。気圧の変化に弱いので、体も心もぐったりの毎日でありました。

 さて今回も、東村アキコ先生のマンガに出てくる食べ物を食べたい親子の宮崎旅行記をお送りします。今回は食べられなかったけど、今度は青島ういろうやら鯨ようかん、これがし、ブラックモンブラン、その他の郷土菓子も食べたい。

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夕方の青島駅。宮崎駅方面の電車がつくホームは、駅舎側のホームから一度線路におりて渡る。photo:yue arima

夕方の青島駅。宮崎駅方面の電車がつくホームは、駅舎側のホームから一度線路におりて渡る。photo:yue arima

 15:45発の電車で青島駅を出発した私たちは、うきうきと次なる目的地を目指していた。『ひまわりっ 健一レジェンド』に、アキコ先生のお父様である健一氏のお気に入り店として登場する「フルーツ大野」だ。

 宮崎駅に到着し、まずは駅ビル「アミュプラザみやざき」で夕食と明日の朝食の買い物を。

 最初に、ひむかきらめき館の「くらや」で「からいも団子」と「チーズ饅頭」を購入。くらやのからいも団子は、半年ほど前に新宿の京王百貨店の催事場で購入し、家族で「もう一回食べたい!」と叫んだときぶりだ。黒糖入り蒸しパン(通称「ふくれがし」)の「ふかふか」もリピートしたかったのだが、消費期限の関係で泣く泣く断念。続いて、「やま館」のスーパーまつやに行って「鶏の炭火焼き」と「レタス巻き」をピックアップ。甘いさつまあげ「おびてん」も食べたかったが、売り切れで手に入らなかった。

 一通り買い物を終えると、おいしいものの入ったビニール袋をブラブラさせながら、20~30分ほど歩いてフルーツ大野へ。徒歩が多いのは、子どもが車酔いが嫌だとタクシーやバスを拒否するからである。

 1982年創業のフルーツ大野は、2024年にリニューアルオープンして上野町通りの現在の場所に移転したらしい。人気店なのだが、運良く客足の途絶えたタイミングだったようで、すぐに席に案内してもらえて「ラッキーだったね~」と喜び合う。自動ドアをくぐると、汗ばんだ体がクーラーでゆるんだ。

 店内は、1階がフルーツショップ、2~3階がカフェという作り。2階席を案内された私たちは、冷蔵ケースに並ぶつやつやのフルーツを横目に階段を上がった。

 ウキウキとメニューを開き、頭を寄せ合ってじっくり眺める。そして注文したのは、子どもがメロンパフェ、夫がバナナパフェ、私はフルーツパフェ。次にいつ来れるかも分からないなら、人気ナンバーワンしかないっしょ!と思ったのである。

楽しすぎるメニュー。photo:yue arima

楽しすぎるメニュー。photo:yue arima

子どもはメロンパフェ。誰にも分けない、と一人でメロンを堪能。photo:yue arima

子どもはメロンパフェ。誰にも分けない、と一人でメロンを堪能。photo:yue arima

かわいいね~! 美しいね~! いろいろ食べたい私は人気ナンバーワンのフルーツパフェ。夫はバナナパフェ。コーヒーもおいしかった。photo:yue arima

かわいいね~! 美しいね~! いろいろ食べたい私は人気ナンバーワンのフルーツパフェ。夫はバナナパフェ。コーヒーもおいしかった。photo:yue arima

 すごいボリュームのパフェが次々にテーブルに並び出すと、テンションが急上昇する。みずみずしい色とりどりのフルーツ、フルーツ屋さんならではの飾り切り。メロンの皮の曲線も、オレンジの皮の漢字の「はね」みたいな折り返した部分も最高。甘くない順を意識してスイカをそーっとグラスから抜き取ると、メロンにかぶりついた隣の子どもが「おいし~い!」と歓声を上げた。目の前の夫は淡々と、しかし満足そうに食べ進めている。

 二人の反応通り、フルーツは、最後のシャインマスカットに至るまですべてが感動するおいしさだった。生クリームやミルクアイス、フルーツソースも甘さ控えめでさっぱりとしていて、フレッシュフルーツとのバランスがよく、それでいて存在感と満足感もある。

 千疋屋や西村といった老舗フルーツ店も含め、これまで都内でさまざまなパフェを食べてきたが、憧れと喉の渇きも手伝ってか、食べながら内心ずっと「今まで食べたどのパフェよりおいしい! またすぐ食べたい!」と興奮していた。大変贅沢な経験だった。

帰り道の空き地にいた猫ちゃん。photo:yue arima

帰り道の空き地にいた猫ちゃん。photo:yue arima

3日目、宮崎県立美術館で石村義成展

 3日目は、朝食にくらやで買った郷土菓子とサンドイッチを食べて、宮崎市の北の方にある宮崎県立美術館へ。

チーズ饅頭にもいろいろあるらしいのだが、くらやのそれはレーズン入り蒸しパンのなかにクリームチーズ。大変美味。photo:yue arima

チーズ饅頭にもいろいろあるらしいのだが、くらやのそれはレーズン入り蒸しパンのなかにクリームチーズ。大変美味。photo:yue arima

さつまいもを餅に練り込んだ郷土菓子「からいも団子」。すごくおいしい。私と子どもはアキコ先生にならって「ねったくり」と呼ぶ。「ねったぼ」とも「ねりくり」とも「いももち」とも言うらしい。photo:yue arima

さつまいもを餅に練り込んだ郷土菓子「からいも団子」。すごくおいしい。私と子どもはアキコ先生にならって「ねったくり」と呼ぶ。「ねったぼ」とも「ねりくり」とも「いももち」とも言うらしい。photo:yue arima

宮崎県立美術館。写真にはありませんが、右側には県立図書館もあります。photo:yue arima

宮崎県立美術館。写真にはありませんが、右側には県立図書館もあります。photo:yue arima

 常設展をぐるっと鑑賞し、美術館内のカフェで昼食を取ってから、2階の特別展「石村義成展~命の色彩」へ。画家の石村義成さんには自閉症の特性があり、その半生やご両親の療育については何度かYouTubeの動画で見たことがある。石村さんのアクリル画を一度、肉眼で見てみたいと思っていたので、たまたま展覧会が開催されていたのがうれしかった。

 石村さんのアクリル画に描かれる鮮やかで美しい動物たちは、リアルな形をしながらもフィクションの世界の生き物みたいで不思議だ。色合いの効果か、大きな作品も小さな作品も発光して感じられ、膨大な数の作品が展示されていたものだから、鑑賞中は強い光の中に立っているような錯覚を覚えた。

石村義成さんの作品「誰かを待っているシロクマちゃん」photo:yue arima

石村義成さんの作品「誰かを待っているシロクマちゃん」photo:yue arima

石村義成さんの作品「かわいいマサイキリン」photo:yue arima

石村義成さんの作品「かわいいマサイキリン」photo:yue arima

石村義成さんの作品。深い群青色をベースとした作品は、闇に浮かび上がるような表現が新鮮でよかった。photo:yue arima

石村義成さんの作品。深い群青色をベースとした作品は、闇に浮かび上がるような表現が新鮮でよかった。photo:yue arima

 会場内には石村さんの半生をモチーフにした映画『青いライオン』のチラシもあり、会期中は宮崎市内の映画館「宮崎キネマ館」で上映されていると知った。しかし、この日の上映時刻には間に合わず、明日の上映時刻には空港にいなければならない。とても残念だった。

 石村さんが10歳の時に病気で亡くなったお母様の有希子さんは、「人に大事にしてもらえる子、人に好かれる子になってもらいたい」と必死で石村さんの療育に励んだという。このエピソードは、かつて子どもと不登校を一緒に生きることにくじけそうだった私を励ましてくれたのだった。そんなことも思い出していた。

重乃井に向かう

 宮崎県立美術館を後にして、私たちは宮崎市をバスで南下し、みやざき物産館「KONNE」に寄り、釜揚げうどん屋の「重乃井」で食事をして、ホテルに帰る予定だった。

 『まるさんかくしかく』2巻に収録された第16話を読み込み、子どもは宮崎の釜揚げうどんにも憧れを募らせていた。アキコ先生が描いたふわふわのうどんと甘辛のつゆ、そしてサイドオーダーの魚寿司やいなり寿司に、食べたい、食べたい、と繰り返してきた。

第16話にも登場する線路近くの大淀川の光景。photo:yue arima

第16話にも登場する線路近くの大淀川の光景。photo:yue arima

 KONNEでお土産を買い込み(特に「宮崎の雫ゼリー」「レンジでふくれるふくれ菓子」が我が家的ヒット)、私たちはさらに数十分の距離を歩いた。大淀川の河川敷を歩く頃には、朝からの長時間移動で子どもはへとへとに疲れていた。「もうすぐだからね」と励ます私。「もう絶対旅行なんかしない」とへそを曲げる子ども。

KONNEの近くには宮崎県庁。建築を見学したい気持ちをグッと抑え、重乃井へ。photo:yue arima

KONNEの近くには宮崎県庁。建築を見学したい気持ちをグッと抑え、重乃井へ。photo:yue arima

 ようやく重乃井にたどり着く。店の前には誰もいない。しかし、先を歩いていた夫が「あれっ」と声を上げた。

 重乃井の扉には、「本日は終了しました」の札がかかっていた。

 うどん売り切れ。想定もしていなかった。「営業時間11時から18時」という記載を鵜呑みにし、17時につけば良いだろうと高をくくっていた自分を呪った。

 「もーやだ」と脱力する子ども。どうするかね、と言いたげな夫。今日という日を平和に終わらせる方法について頭をフル回転させる私。「ふわふわのうどん食べたかったのに!」という子どもの訴え。それに対し、私は宮崎駅前のアミュプラザひむかきらめき館にあるうどん屋「三角茶屋・豊吉うどん」を提案することしかできなかった。

 私たちは再び歩き出した。ここから駅前までは、さらに徒歩25分あまりの距離。まあ、でも、仕方ない。せっかくなら途中にあるおぐらの瀬頭店でもチラ見していくか、と気持ちを切り替え、今度は子どもが喜びそうなことは何かないかと辺りを見渡す。

 おお、あの自販機に並ぶのは、子どもが飲みたがっていた缶入りのクリームソーダではないか。そんなラッキーで、10歳のテンションは見事V字回復。途中、地元の子どもに交じって公園に寄って遊んだりしながら、長い長い徒歩旅を経て、私たちは無事においしい宮崎のふわふわうどんにありついたのだった。

おぐら瀬頭店。せがしら、と読む。photo:yue arima

おぐら瀬頭店。せがしら、と読む。photo:yue arima

おいしかった三角茶屋・豊吉うどんのおうどん。私は福岡の知人に思いを馳せ、ごぼう天うどんを選びました。photo:yue arima

おいしかった三角茶屋・豊吉うどんのおうどん。私は福岡の知人に思いを馳せ、ごぼう天うどんを選びました。photo:yue arima

翌日、昼過ぎの便で帰京しました。photo:yue arima

翌日、昼過ぎの便で帰京しました。photo:yue arima

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