東村アキコファン親子の宮崎旅行(2)――青島で冷やしパイン編

左奥に見えるのが青島。photo:yue arima
こんにちは。ライターの有馬ゆえです。梅雨入りし、気圧の乱高下で鼻水が止まりません。皆様はご無事ですか……。
今回は、前回に引き続き、東村アキコ先生のマンガに出てくる食べ物を食べたい親子の宮崎旅行記をお送りします。1回目は下記です。
2日目、青島で念願の冷やしパイン
大きな川の先に海が映って、わっと心が沸いた。ほどなくして電車は、黄色と白の「青島」という駅名標が掲げられた駅に着く。カップルや家族連れが何組かホームに下り、青島はデートスポットでもあることを知った。
白くて小さな駅舎を出る。太陽の光は強くなっていたが、空気はからりとして爽やか。気持ちがいい。途中、宮崎駅からの電車の乗り継ぎに失敗したとき、本当は絶望感で「もうやだ帰りたい」と投げ出したくなっていたが、帰らなくてよかった。私一人だったら、絶望したまま宮崎駅に戻り、駅ビル「アミュプラザみやざき」のミスドでフレンチクルーラーでも食べて半日溶かしていたところだ。
子どもの要望を叶えたいという母親の使命感に私自身が助けられる。母ライフをしていると、けっこうそういうことは多い。

青島神社とサーフィンがデザインされた駅名標。窓に映っている黄色い電車はJR日南線。「おりゅうざこ」は「折生迫」と書く地名だそうです。photo:yue arima

青島駅前。photo:yue arima
オフシーズンの青島駅前は、土曜日だというのに人もまばらだ。飲食店や民宿が並ぶ駅前のロータリーは、千葉県の勝浦や千倉のそれに似ていたが、生えているのは南国の植物なのがおもしろい。『まるさんかくしかく』に描かれた1980年代の宮崎では、夏になれば大賑わいの海水浴スポットだったけれど、人口減少とともに町は寂れてしまったのだろう。

となり駅にはリゾートホテルや高級温泉宿もあるらしいのですが、青島近辺は昭和の雰囲気を残した庶民的な町という印象でした。photo:yue arima

ひむか神話街道(すごい名前)にかかる歩道橋の上から青島駅前方面を見たところ。photo:yue arima
青島は、宮崎の有名観光スポットだ。「鬼の洗濯板」と呼ばれる広大な岩場と、その先に位置する「青島神社」で知られている。
予定をはるかにオーバーし、時刻はすでに13:30。帰りの電車は15:45。まずは、子どもが最も切望していた「冷やしパイン」を買うため、参道の売店を目指す。『まるさんかくしかく』1巻に収録された第4話に出てくる冷やしパインである。
まだ繁忙期ではないからかシャッターを閉めている店もあったが、かき氷やソフトクリーム、軽食などを売っている売店は行列が途切れない賑わい。ちょうど日差しが夏めいてきはじめていたからだろう。注目待ちの列に加わり、冷やしパインと宮崎名物の肉巻きおにぎりを買う。ビニール袋にそのまま入った長さ15センチぐらいの冷凍パインを受け取り、子どもが「つめた~い!」とはしゃいだ。

これが冷やしパイン。食べかけで失礼します。photo:yue arima

夫婦で肉巻きおにぎり。photo:yue arima
ビニール袋を開けてさっそくかじりついた子どもが「ん~おいしい!」「たまらない!」などと騒いでいるのを、肉巻きおにぎりをかじりながら見つめる。ただ、最終的に酵素にやられ「舌がビリビリして痛い……」と涙目になっていて、あんなに憧れた冷やしパインだったのになぁと残念に思った。
青島神社へ
おなかも落ち着いたところで、散策へ。ビーチをぶらぶらしてのんびりと貝拾いをしてから、弥生橋を渡って青島神社へ。駅側のビーチは薄焦げ茶の砂浜なのに、橋を越えた途端、白く美しい砂浜に変わる。ここ青島は、貝殻が堆積してできているのだそうだ。歩く度、ざくっざくっと足が沈むのが楽しい。

貝殻でうめつくされた白い浜辺と、その先に広がる鬼の洗濯板のコントラストが面白い。photo:yue arima

鬼の洗濯板。photo:yue arima
鬼の洗濯板は正式名称を「青島の隆起海床(りゅうきかいしょう)と奇形波蝕痕(きけいはしょくこん)」といい、国の天然記念物に指定されている。約700万年ほど前に、固い砂の岩と軟らかい泥の岩が交互に積み重なった地層が、やや傾いた状態で隆起。長い時間をかけて波に洗われた結果、固い砂の岩だけが残って、洗濯板のような地形になったという。
ボコボコと穴の空いた不思議な岩の上を歩いたり、浅瀬の部分に生息しているヤドカリを捕まえたりして遊んでから、青島神社へ。

不思議な岩。photo:yue arima

小さくてかわいいヤドカリがたくさんいた。photo:yue arima
青島には、ビロウ樹という亜熱帯植物が約5000本が自生しているという。こぢんまりした神社の境内も南国の雰囲気で、関東の人間からすると、真っ赤な本殿とのコントラストが面白い。元宮に続く木陰の小道にただようひんやりとした空気、神社の前の浜で拾った宝貝を置くと願いが叶うという「真砂の貝文」、素焼きのお皿を投げて吉凶を占う「天の平瓮投げ」など、この土地の気候や歴史が感じられて楽しかった。

青島神社の境内。社務所の上にフェニックスの木がのぞいている。photo:yue arima

本殿の先にビロウの木々が茂る道があり、元宮へ。photo:yue arima

小さな元宮。photo:yue arima

真砂の貝文。photo:yue arima

子どもも拾った宝貝を置いていた(真ん中の茶色いの)。photo:yue arima

photo:yue arima
一通り神社を見学して、のんびりと駅方向へと来た道を戻る。到着したばかりの頃は肌寒かったのに、降り注ぐ日差しは夏のような強さに変わっている。シャツの袖をたくし上げても体は汗ばみ、宮崎は東京よりも早く夏が来るのだなと実感する。そして先ほどの売店で、子どもと夫はかき氷、私はソフトクリームを注文した。

サーファーもちらほらいました。photo:yue arima

ハスノハカシパンにハマったらしき子どもの戦利品。イモガイは『まるさんかくしかく』に登場するので「あっイモガイ」と言って拾ってた。陶片は私の趣味です。photo:yue arima
(次回へ続きます)
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