お母さん、私たちの幸せを願うなら

結婚しない子を持つお母さんたちへ。ずっと祝福されてきたのに、気づけば親から「おめでとう」と言ってもらえなくなった人たちへ。
有馬ゆえ 2021.09.03
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こんにちは。

猛烈に暑い毎日から一転、すっかり初秋の涼しい週末となりました。先日、かすかにキンモクセイの香りすら感じ、夏らしい日々はもう終わったのかとややさみしい気持ちであります。

さて今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載から過去記事「お母さん、私の幸せを願うなら」(2018年10月掲載)の加筆修正版をお送りします。私、お母さんじゃないけど、あなたが懸命に生きてきた人生を全力で祝福したい。

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「よかったね!」「ようやく幸せになれたね!」

結婚したとき、こうした周囲からの祝辞にイライラが止まらなかった。結婚は、確かにめでたいことだ。だが私は内心、そこはかとなく漂う「独身=不幸」というムードに腹を立てていた。

結婚しなかったら、子どもができなかったら、この人たちは私のことを不幸だと思っていたのか? 幸福で充実した私の独身時代をなめるな。自信のなかった20代の私が自己肯定できたのは、今の職に就いて経験を積んだからなんだ。仕事ぶりを認めてもらっただけじゃない。仕事を通して信頼できる仲間に出会えたし、経済的にも自立できた。がんばった私の10年あまりを、結婚までのモラトリアムみたいな言い方すんな。私は、とてもとても傷ついていた。

しかししばらくして、私は重苦しい事実を理解する。「独身=不幸」とは、世の中の多くの人が内面化し、同時に苦しめられているメンタリティだったのだ。

それに気づかせてくれたのは、周囲の独身者たちのいつもと違う反応だった。

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