主婦たちのインスタを笑わないでください

私は、主婦のインスタが理解できない独身女だった。ごめん。写真は、数年前に食べたオーバカナルのニース風サラダ。もちろん1人の主婦としてインスタに上げました。
有馬ゆえ 2021.07.09
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こんにちは。

東京は、雨しとしとの1週間でした。たまに顔を出す太陽に気が晴れると、セロトニンやっぱやべ~! と心でつぶやいています。

さて、湿気にやる気を奪われる時期は、Instagramの人の投稿がなぜかつらい。そこで今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載から過去記事「主婦たちのインスタを笑わないでください」(2017年6月掲載)の加筆修正版をお送りします。過去の恥ずかしい自分についての懺悔。

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23時。夜更けになると、突如として主婦たちのInstagra更新が始まる。手作りおやつと夕食。お気に入りのカトラリーや食器、キッチンツール。おいしいパン屋のクロワッサン、ハンドメイドの手提げ袋や巾着、深夜に焼いたお菓子、名前付けをした幼稚園グッズ、新調した家電、個人輸入した海外ブランドの子ども服。

独身の皆さん、なぜ彼女たちがわざわざそんな写真をアップするのか、わからないでしょう。ええ、私もです。実際に主婦をやってみるまで、何気ない日常を記録することの意味がわかっていなかった。どれだけすてきでも、人んちの食卓なんて自分とは無関係すぎた。独身時代の私にとって、価値があるのは社会生活だったからだ。だから、彼女たちの投稿を丁寧な暮らしを営む私ブランディングなのかと思っていた。あるいは、すてきな私演出かと思っていた。

しかし、違った。ああごめんなさい。叶うことなら、過去の自分をひっぱたいて謝らせたい。彼女たちは別に、何かを誇示しようとなどしていなかった。その投稿は、ブランディングでも演出でも自慢でもなんでもなかった。毎回、感動するほどの何かがあったわけでもかった。あれは、切実な気持ちの表れだったのだ。

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