35歳、恋の終わりと新しいスタート

桜の季節になると思い出す友人の話。
有馬ゆえ 2022.03.11
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photo:yue arima

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こんにちは。

手芸ばあさんになりたい身として、就学準備を言い訳にしてミシンを始め、不器用なりに楽しんでいます。ふでばこやら鉛筆やら折りたたみ傘やら水筒やら、準備するものが多くてめんどうですが、子どもの嗜好を知る機会になって楽しもありますね。我が家の6歳は完全にゆめかわ街道まっしぐらです。面白い。

さて今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載記事から「35歳、恋の終わりと新しいスタート」(2017年7月掲載)の加筆修正版をお送りします。春になると思い出す友人のエピソードについて。

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春。桜並木の川沿いを散歩しようよと約束していた友人が、めっきり艶っぽくなってあらわれた。

長く伸ばした髪をまとめ、ぴったりしたボーダーニットに淡いデニムのワイドパンツ、白いバレエシューズ。ややマットで落ち着いたリップ。ショートヘアとアウトドアカジュアルがトレードマークだったのに、ガラリと印象が変わっている。手を振って近づき、横に並ぶと、ふわりと華やかな香りがした。

あいさつもそこそこに、最近どうよなんて、いつもの調子で他愛ないおしゃべりが始まる。そして立ち寄ったコーヒースタンドで注文を待つ間、私は意外な話を聞くことになった。

35歳になった去年の暮れ、友人は、長くつかずはなれずの関係を保っていた元恋人と、きっぱり別れることにしたという。

彼は実家のある福岡で働いており、東京に住む彼女とは遠距離恋愛だった。何年も付き合ったり、別れたりをくりかえしてきたため、この2年間も、友人はずっと関係が戻るのを期待していた。東京で好きな仕事をしていても、いつもどこかで彼の働いている福岡に引っ越すかもしれないと考えていたそうだ。

しかし、年末に会ったときわかったのは、もう恋人の気持ちが冷めきっているということだった。

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