【雑談】夏の母とラブコメ映画

46歳、ラブコメ映画に開眼。
有馬ゆえ 2024.08.16
誰でも
水族館の写真で涼をお届け。photo:yue arima

水族館の写真で涼をお届け。photo:yue arima

 こんにちは。ライターの有馬ゆえです。書きたいのに書く時間が取れず、すっかりご無沙汰してしまいました。最後の更新したの、4月末だって……ううっ。

 さて「相続放棄物語」の途中ですが、今回は雑談レターをお送りしてみます。

 最近の私は夏休みの母をやっており、このレターは夫と子どもが二人で夫の実家に帰省した隙を狙って執筆したものです。学校に行かない子どもが学ぶ環境を手弁当で整える庶民の毎日はあわただしく、わずかな仕事をするだけで精一杯。だいたいは本も映画も漫画も手に取れないほどの疲労感なので、たった二日でも時間を気にせずのびのび文章が書ける幸せを噛みしめております。昨日だけで映画も2本観た。

かわいいタコクラゲちゃんもどうぞ。photo:yue arima

かわいいタコクラゲちゃんもどうぞ。photo:yue arima

『アイデア・オブ・ユー』でラブコメ映画にハマりました

 そんな私が数日前に開眼したのがラブコメ映画だ! 『プリティ・ウーマン』も『ノッティング・ヒルの恋人』も『めぐりあえたら』も『ユー・ガット・メール』も『メリーに首ったけ』も観てこなかった私が、生まれて初めて観たのが『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』。ティーンの子どもがいるシングルマザーのソレーヌと、人気ボーイズバンド「オーガスト・ムーン」メンバーのヘイズが恋に落ちる物語で、40代女性の恋、年上女性と年下男性カップルへのバッシング、SNS時代の過剰で無遠慮な視線、アイドル的存在の消費のされ方などなど、風刺も効いててよかったです。

※以下、ちょっとネタバレしています。

 トレイラーは吹き替えはイメージが違うので英語版をどうぞご覧あれ。

 染みたのは、オーガスト・ムーンのメンバーが女性を連れてワールドツアーを回っているときに、避暑地のヴィラで過ごすシーン。プールサイドで過ごそうと誘われて水着に着替えようか迷っていたソレーヌが目にしたのは、窓の外にほかのメンバーが連れてきた20代の女の子たちのぷりぷりしたビキニ姿。ソレーヌは劣等感に駆られて、長袖のシャツを羽織ったコーディネートでプールサイドへ。そして女の子たちにコソコソ「なにあれ喪服?」とか言われてるのも知らず、「皮膚がんの家系なの」と言い訳をするのです。ソレーヌと同じ40代の私は、比べなくていいとわかっていても失われた若さを恥じてしまうことや、「皮膚がん」という20代の子からしたら意味不明な理由が正当な理由になってしまうことに、たまらないものを感じてもだえてしまった。

 あと、すっかりニコラス・ガリツィンの声や歌を好きになってしまって、毎日曲も聴いている(各種音楽配信サービスにも配信されている)。作中のオーガスト・ムーンの楽曲はワン・ダイレクションなどを手がけたチームが制作しているそうで、そもそも本作の原作はワン・ダイレクションのメンバーをモチーフにしたファン・フィクションなんですって。それにしても「14歳の時にグループに入った。不幸の始まりだ」という作中のヘイズのセリフには、男子アイドルファンでもある私としては考えさせられるものだったな……。

 

 こちらのアン・ハサウェイとニコラス・ガリツィンのインタビューもよかったです。

『ヘイティング・ゲーム』もよかった

 あと、昨日観た『ヘイティング・ゲーム 恋とキャリアの必勝法』も面白かった! ラブコメ映画というのは、出会いや恋に落ちることの合理性ではなくて、恋に落ちかけたところから二人が少しずつ関係性を発展させていく過程を面白がるジャンルなんでしょうか?

 オフィスで敵対関係にあるルーシーという女性とジョシュアという男性が恋に落ちていく物語なのですが、ふたりがとってもチャーミングだった。会話のセンスがすんごい好きだし、キャラクター造形が魅力的で、キャリアと女性というテーマの匂わせ方もよい。キャンキャン吠えるけど実はジェンダー役割に縛られている女の子だったルーシーが、最後の方で社会の中できちんと意見を主張する女性に成長していくのもすてきです。クローゼットな男性社会のつながりについても描かれているよ。ナードなデザイナーの彼はあまりにかわいそうだったけど……。

 単純な私は「ジョシュア役のオースティン・ストウェルすてき!」とときめき、インスタをのぞいたら、犬をかわいがったり山登りをしたりしている30代の健康なおじさんで好意を持ちました。

 90年代後半、文学やサブカルにふけって家族にまつわる嫌なことから逃避していた私は、正直美男美女の出てくる甘いラブコメをバカにしていた。でも、それは私が単純に恋愛や友情や人間関係の機微に目を向けられるほど余裕がなかっただけなのかもしれません。そう思うとあの時代に『ノッティング・ヒルの恋人』やら『メリーに首ったけ』に夢中になれた人たちがうらやましくもありますが、逆に言えば私は今、自分の作った家庭の中で安心して暮らしているってことなんでしょう。まあまだ人生はあるので、これから楽しむ!

 皆様も、おすすめのラブコメ映画があったら教えてください。どうぞ、アイスでもかじりつつ楽しい夏を!

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