女の人生スタンプラリー

私たちの人生は「よくできました」を押してもらうためにあるわけではありません。
有馬ゆえ 2022.06.03
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photo:yue arima

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こんにちは。ライターの有馬ゆえです。

先日、生誕44周年を迎えました。最近、気に入っているワードは「おばさん満喫中」です。ちょっとぐらいもの忘れをしたって、ちょっとぐらい太ったって、ちょっとぐらい白髪が出たって、まあいいか、と思える魔法の呪文ですので、よかったら皆さまもご活用ください。

さて今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載記事から「女の人生スタンプラリー」(2020年5月掲載)の加筆修正版をお送りします。スタンプ押していただかなくてもけっこうです、と言えない自分も、まだまだいるけれど。

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未婚の友人2人に妊娠と結婚を報告した、あの夜のことを忘れることができない。

私がそれを口にした瞬間、飲み屋の個室の空気がもやりと濁ったこと。そっか、私特に祝福されないんだな、と悲しくなったものだが、今ならわかる。水に落とした墨汁のように広がったのは、戸惑い、落胆、劣等感、自己否定――。

彼女たちが表情を曇らせたのは、「結婚」「出産」が女性の人生で正解とされているからだ。

女の人生はまるでスタンプラリーだ。手に入りそうものはすべて手に入れないと、失敗みたいに思われている。

たとえば、何人かの女友だちが涙を流して語る「子どもを生んでない自分は、女の体をちゃんと使えない不完全な人間だ」という悲しい認識。

彼女たちは、子宮があって生理があるのに、それを正しく機能させていない自分が欠陥品に見えるのだそうだ。私だけで同じ話を複数人から聞いているのだ。きっと世の中に同じ事を考えている人はたくさんいるのだろう。つらすぎる。

自分の体なんだから自分の好きなように使っていいはずだし、そもそも子どもができる可能性は人それぞれ違う。異なる人生を歩む個々人を「女」の枠に閉じ込めて評価するなんて馬鹿げているし、大切な自分に申し訳ない。なのに、世間に合わせて自分を評価してしまう、ということは、私にもしばしばある。

「結婚できないと思われたくない」と、マッチングアプリで出会った素性の知れない男と結婚した知人もいる。「選ばれない女のままでいると、世の中から自分という存在を否定されているようで苦しい」と彼女はいうのだ。

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