井戸端を旅して
photo:yue arima
こんにちは。ライターの有馬ゆえです。
暑い。暑いです。まだ6月なのに、すでに一家で夏バテしています。夜もクーラーをかけないと熱中症になりそうだなんて、7月、8月はどんな気候になるのか。小学校の子どもたちは首に冷感タオルを巻いて過ごしているそうです。どうか皆さまも万全の暑さ対策を!
今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載記事から「井戸端を旅して」(2017年11月掲載)の加筆修正版をお送りします。最近は、同じ小学校のママたちと「あのプリントなくしちゃったから教えて!」「今日宿題出てる?」などとやりとりしながら、コロナ禍の井戸端はLINEグループなのだなと実感している次第です。
「中高の友だちグループがことごとく独身なんだけど、みんなスピリチュアルっぽい世界にハマってるんだよね。ある子はレイキヒーリングっていう怪しげなセラピーの資格を取ろうとしてるし、ある子は本田健の自己啓発本にのめり込んでセミナーに通ってるし、ある子はフラクタル心理学っていう妙な心理セミナーの講座に通ってるし」
同じ年の旧友たちとランチをしていると、一人が声を潜めてこう打ち明けた。すると、別の一人が驚いた顔を彼女に向ける。
「私の中高の友だちも似たような感じ。一人は出産をきっかけにオーガニックに入れ込んで今じゃビーガン(完全菜食主義)になっちゃったし、一人は生活がヨガ一色になっちゃってオーラがどうのとか言い始めて、一人は占い師に入れ込んでお金をつぎ込んでる」
その友人たちから勧誘をされたり、物を押しつけられたりして、迷惑なわけではない。ただ、嬉々として知らない世界の話をしている姿を見ると、昔の彼女はどこへ行ってしまったんだという気持ちになって、ショックだしさみしい――。
口々に二人は言って、「なんでだと思う?」と私の顔を見た。
うんうんわかるよ。私ね、彼女たちの気持ちが痛いほどわかる。
「だって、生きるのって大変だもんね。例えばさ、結婚してる二人からすると、独身でバリバリ仕事に打ち込んでる人を見ると、自己実現してる! かっこいい! って思うかもしれないけど、仕事だけして疲れ果ててると、孤独で超むなしくて心細くなるときがあるから。よりどころとか生きてる意味がほしいんだよ。私はほしかった。だから週2でアイドルの現場に通ってたし、だから結婚したんだもんね!!!!」
鼻息の荒くなった私に、最近離婚したばかりの友人がしみじみと続ける。
「結婚してたって、子どもがいたって、それだけじゃ万事ハッピーにはならないしね。子育てしてる専業主婦も孤独な人が多そうだよ。子どもが自立し始めて、ねずみ講みたいな主婦のお茶会サークルに夢中になってる子もいる」