男子、厨房に入れず

料理はひとつの家事であると同時に、小さな達成感を得られたり、共同作業が楽しかったり、支配欲求を満たせたりする行為でもあると気づきました。写真は、いつかの朝にむしゃくしゃして作ったパン。
有馬ゆえ 2021.10.01
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こんにちは。

雨模様の夏が終わり、遅ればせながら娘に虫取りあみ(¥110)を献上しました。虫を追いかけ回している姿を見ると、「子どもだな!」と感動しますね。なんだろこれ。

さて今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載から過去記事「男子、厨房に入れず」(2020年6月掲載)の加筆修正版をお送りします。台所に入れてもらえなかったお父さんたちの話。

***

2019年の夏、都心に1人暮らしをする年上の友人が、埼玉県の実家に通っていた。母親が手を骨折したため、週に何回か家事をしにいくのだという。正社員として働きながら、実家の買い物、数日分の作り置き、洗濯、掃除などをこなす日々で、友人はへとへとになっていた。

「大変だね。だけどお母さんが一人暮らしじゃ、放っておけないもんね」

私が労をねぎらうと、友人は一拍おいてから「だと思うじゃん?」と返してきた。

「うち、お父さんいるの。健在どころか会社も退職してないんだけど、私が家事やってるから、お父さんの生活は何一つ変わってないんだよ。いや~、お父さんマジ不幸。生きる力ゼロだもん。ありゃ幼児だね」

母親が骨折して初めて、友人は父親の生活能力のなさをまざまざと見せつけられたという。1人暮らしの経験がない父親は、家事をしたことが一度もない。だから、炊飯器の使い方も、火加減の判断も、野菜の選び方も、洗剤を置いてある場所も、ほこりがたまりやすい箇所も、ゴミを出す曜日も知らないのだ。

だが、それ以上に友人があぜんとさせられたのは、母親のなわばり意識の強さだった。

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