彼女は戦友
ある戦友にさしあげたねこ×フェミニズム刺繍ゴム。photo:yue arima
こんにちは。ライターの有馬ゆえです。
2014年から5年あまり、「佐賀新聞」のフリーペーパー「Fit ecru」でエッセイを連載していました。生まれも育ちも東京で、かつ一般企業で働いたことのない私にとって、担当編集さんから聞く地方の女性の話は知らないことばかりでした。佐賀で実際にお会いした女性たちの話も、いまだによく覚えています。佐賀には二度しか行ったことがないので、また行っていろんな人の話を聞きたいな。
今回は、その連載中、佐賀で出会った女性たちと一緒に考えたことについて。佐賀新聞Fit ecruでの連載記事から「彼女は戦友」(2019年5月掲載)の加筆修正版をお送りします。
深夜のバルは、気づけば女性グループで埋め尽くされていた。女三人寄ればかしましいというが、私たちがかしましいのには訳がある。それは、女がおしゃべりによってストレスを吹き飛ばすという知恵を持っているからだ。
再び、友人とその同僚たちの会話に耳を傾ける。
「女性躍進だなんだって言うけど、私たちは結局、圧倒的少数なんだよね。会社は男性に都合よく回るようになってるし」
酔いが回って舌っ足らずに話すのは、私の友人。彼女は正社員だが、この春、自分より仕事のできない同僚男性が年功序列で昇格し、ひどく憤っていた。その報を聞いたときは、ショックのあまりふらふらとトイレに逃げ込み、15分は立ち上がれなかったそうだ。
「まったくですよ。女っていうだけで組織内では評価されないんですよね。『女の割にはがんばってる』なんて言われて」
そう返した友人の同僚女性は契約社員。
彼女は、正社員登用試験を何度か受けているものの、一向に合格しないと悩んでいる。最近は、同じ部署内でお荷物状態の男性契約社員が今春から正社員になることを知り、激しく落ち込んだという。
うんうんと大きくうなずくのは、嘱託社員の女性と、出産で退職したばかりの元アルバイトの女性だ。