向こう岸のワーママ体験

子どものいない友人が打ち明けた。「前はほっともっとに並ぶ子連れママたちを見て『夕飯、お弁当にしちゃうんだ……』って思ってたけど、そりゃするわ。やっと理解した」
有馬ゆえ 2022.03.25
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photo:yue arima

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こんにちは。

ようやく桜のつぼみがふくらんできましたね。子どもと登園しながら、花が咲いた枝を見つけては「あそこは日当たりがいいんだね」などと話しています。花ひらいた部分だけ白いかたまりがついたように見える桜の時期も楽しや。降っても照っても小さな手を握って歩いた保育園ライフは、あと数日で終わり。さみしいなあ。

今回は、佐賀新聞Fit ecruでの連載記事から「向こう岸のワーママ体験」(2019年8月掲載)の加筆修正版をお送りします。難しいけど、私もね、常に自分を省みられる自分でいたい。

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「私、初めてワーママの大変さがわかった。実はずっと分かり合えないって思ってたし、本当に分かり合うことなんてないのかもしれないけど、少なくとも今はワーママを尊敬してる。お互い大変だけど、それぞれがんばろうって気分なんだよね」

友人Hがこう打ち明けたのは、新年を口実に女3人で集まったときのことだった。

HはPR会社で働く35歳の独身女性。とにかく仕事が好きで、深夜残業もいとわずにガリガリとやりたいことを突き詰めたいタイプだ。数年前に1人暮らしをやめ、実家で両親と暮らしているのだが、去年の冬、母親が入院したことで、彼女は普段とは違う忙しさを体験したのだと言った。

「私、お恥ずかしながら、母が倒れるまでって、出勤ギリギリの時間に起きて、自分の身支度だけをして、用意されている朝食を食べて、家を出てたの。夜はたっぷりと好きなだけ仕事をして、疲れ切って帰宅したら、用意されている夕食を食べて、その後も自分の好きなことだけして、好きな時間に寝てた。だけど、母が入院したら、生活が一変したんだよ」

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